「週末だけ軽貨物をやっているけど、確定申告っていくら稼いだら必要になるんだろう」——本業が別にある副業ドライバーからよく聞く疑問です。しかも令和7年度の税制改正で所得税の基礎控除が引き上げられ、「結局自分はいくらまでなら申告しなくていいのか」がさらに分かりにくくなっています。
結論から言うと、「20万円ルール」自体は今回の改正で変わっていません。ただし基礎控除の引き上げで税負担が変わる人がいるのと、「住民税は別ルール」という見落としがちな落とし穴は今も健在です。ここを整理します。
まず結論:申告が必要になるライン
副業で軽貨物をしていて、本業の会社で年末調整を受けている給与所得者の場合、目安は次の通りです。
- 所得税の確定申告:軽貨物の所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超えたら、原則として確定申告が必要
- 住民税の申告:所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になるのが原則(自治体によって扱いが異なる場合があるため要確認)
ここでいう「20万円」は売上ではなく「所得」(経費を引いた後の利益)である点に注意してください。売上30万円でもガソリン代・車両維持費などの経費が10万円以上あれば、所得は20万円以下になり得ます。
基礎控除95万円への引き上げが関係あるのはどんな人か
令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除額が見直されました。国税庁の案内によると、この改正は令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されます。合計所得金額に応じて基礎控除額が段階的に変わり、低所得層ほど基礎控除が手厚くなる設計です。令和7年分の区分は次の通りです。
| 合計所得金額 | 基礎控除額(改正前48万円) |
|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 |
| 132万円超〜336万円以下 | 88万円 |
| 336万円超〜489万円以下 | 68万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 63万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 58万円 |
(132万円超〜489万円以下の区分は経過措置で、令和9年分以後は58万円に戻る予定です。)
- 副業も含めた年間の合計所得金額が一定額以下の人は、基礎控除が引き上げられたことで所得税の負担が軽くなる可能性があります
- ただし基礎控除の引き上げは「所得税の税額計算」の話であり、「確定申告が必要かどうか」の20万円ルールとは別の話です。基礎控除が増えても、副業所得が20万円を超えていれば申告義務そのものはなくなりません(税額がゼロや少額になる可能性はあります)
具体的な控除額の段階や自分の所得区分がどこに当たるかは、国税庁の公式情報で必ず確認してください。所得帯によって適用される控除額が細かく分かれているため、ここでの一般論だけで判断しないことをおすすめします。
「20万円以下だから申告しなくていい」の誤解に注意
副業ドライバーが特に誤解しやすいポイントを3つ挙げます。
- 20万円ルールは所得税だけの話:住民税にはこのルールが適用されないため、所得税の申告が不要でも住民税の申告(または申告不要制度の確認)が必要になる場合があります。
- 本業がない・複数の副業がある場合は前提が変わる:20万円ルールは「給与所得者が年末調整を受けていて、給与以外の所得が20万円以下」という条件が前提です。専業に近い働き方や、他にも副業がある場合は合算して判断する必要があります。
- 所得控除を受けたい場合はそもそも申告が必要:医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例の対象外になった場合)などを受けたい人は、所得が20万円以下でも申告した方が有利なケースがあります。
自分がどのケースに当てはまるか判断に迷う場合は、税務署や税理士、あるいは最寄りの自治体窓口に確認するのが確実です。
副業軽貨物ならではの経費のポイント
所得を正確に計算するには、売上だけでなく経費の記録が欠かせません。副業軽貨物でよく計上される経費の例は次の通りです。
- ガソリン代・高速道路料金
- 車両の減価償却費・自動車保険料(事業使用割合分)
- 携帯電話代・配送アプリの利用料(事業使用割合分)
- 駐車場代・車両整備費
本業と兼業していると、日々の売上と経費の記録が後回しになりがちです。日報・請求・経費の記録を都度まとめておくと、確定申告シーズンに慌てて計算し直す手間を減らせます。特に「所得20万円を超えたかどうか」をリアルタイムで把握できていないと、申告漏れに気づくのが年明けになってからということも起こりえます。日々の記録を一本化しておく習慣が、結果的に申告要否の判断ミスを防ぐことにつながります。
まとめ:やることリスト
- 副業軽貨物の所得(売上−経費)が年20万円を超えるかを日々の記録から把握する
- 20万円ルールはあくまで所得税の話。住民税の申告要否は別途確認する
- 基礎控除引き上げは税額計算の話であり、申告義務の有無を直接変えるものではないと理解しておく
- 自分の合計所得金額がどの区分に当たるかは、国税庁の公式情報で確認する
- 判断に迷う場合は税務署・自治体窓口・税理士に相談する
最新の正確な情報(基礎控除額の所得区分ごとの詳細、適用時期、住民税の取り扱い)は、必ず国税庁・お住まいの自治体等の公的情報でご確認ください。
参考
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm