「うちの名前が管理簿に載る」と言われて戸惑っていませんか

元請け(または元請けに近い上位事業者)から、突然「実運送体制管理簿に記載するので、屋号・許可番号・連絡先を教えてください」と言われた——そんな軽貨物ドライバーが増えています。

「自分は何の書類を作らされるのか」「情報を渡して大丈夫なのか」と不安になるのも当然です。結論から言うと、この管理簿を作成・保存する義務があるのは元請け側の大手事業者であり、軽貨物ドライバーは「記載される側」です。ただし、記載される側にも知っておくべきポイントがあります。

結論:軽貨物ドライバーが作る書類ではない

実運送体制管理簿は、改正貨物自動車運送事業法にもとづき、荷主から請け負った運送で他社の運送を利用する元請けの一般貨物自動車運送事業者(元請運送事業者)や、貨物利用運送事業者(フォワーダー)に作成・保存が義務づけられている書類です。

施行時期は次のとおりです(国土交通省の発表にもとづく)。

つまり2026年4月からは、荷主とドライバーの間に入る利用運送事業者(フォワーダー)にも、実際に荷物を運んでいる実運送事業者の名称などを管理簿に記載する義務が広がります。多重下請け構造の中で、誰がどこまで下請けに出しているかを「見える化」しようという狙いの制度です。

なお、管理簿の作成対象となるのは、真荷主から引き受けた1回の運送の貨物重量が1.5トン以上のものです(国土交通省のQ&Aによる。重量は荷主から引き受けた時点で判断し、1.5トン未満なら作成対象外)。

この管理簿の作成義務が課されるのは、荷主から運送を引き受けて他社の運送を利用する(=再委託・利用運送を行う)元請けの一般貨物自動車運送事業者や、貨物利用運送事業者(フォワーダー)です。したがって、他社への再委託をせず実際に自分で荷物を運ぶだけの軽貨物ドライバー個人(車両1台の個人事業主など)が、この管理簿を自分で作成する義務を負うことは基本的にありません。ただし、元請け側が管理簿を作るために、下請けである軽貨物ドライバーへ事業者情報の提供を求めてくることは十分にあり得ます。

なぜ今、この話が増えているのか

多重下請け構造の是正は、トラック運送業界の長年の課題でした。荷主→元請け→一次下請け→二次下請け……と契約が重なるほど、実際に運ぶ事業者が誰なのか、責任の所在があいまいになりやすいという指摘があったためです。

実運送体制管理簿は、この「誰が実際に運んでいるか」を元請け側に記録・保存させることで、下請け構造の透明化を進める仕組みの一つです。2025年4月の元請け向け施行に続き、2026年4月からフォワーダーにも対象が広がることで、より多くの下請け事業者(軽貨物ドライバーを含む)が「記載される側」になる可能性があります。

情報提供を求められたら準備しておきたいこと

元請けやフォワーダーから事業者情報の提供を求められた場合に備えて、次のような情報をすぐに答えられるようにしておくと安心です。

特に「自分が何次請けか」を把握していない事業者は少なくありません。契約書や業務委託契約の内容を見直し、直接契約している相手が元請けなのか、さらに上位がいるのかを一度整理しておくと、今後こうした照会にもスムーズに対応できます。

交渉材料としても捉えられる

多重下請け構造が「見える化」されるということは、裏を返せば、下請けの階層が長すぎる取引は元請け側にとっても管理・説明のコストになるということです。今後、階層を減らして直請けに近い形へシフトする動きが業界内で進む可能性もあります。

情報提供を求められた際は、単に応じるだけでなく「自社(自分)が何次下請けにあたるか」「単価や取引条件がその階層に見合っているか」を見直すきっかけにするのも一つの考え方です。

実務メモ:日報・請求・契約情報は一本化しておくと楽

事業者情報の照会や、契約条件の見直し交渉が発生したとき、日々の稼働日報・請求書・契約先ごとの情報がバラバラに管理されていると、必要な情報をすぐに出せず後手に回りがちです。日報・請求・取引先情報を一元管理しておくと、こうした照会への対応や、自分の稼働実態にもとづいた交渉がしやすくなります。

まとめ:やることリスト

最新の制度詳細・様式・対象事業者の範囲については、必ず国土交通省等の公的情報で確認してください。

参考