「置き配指定なのに、オートロックで中に入れない」。軽貨物で宅配を回していると、必ずぶつかる壁です。エントランスの前で立ち往生し、住人が出てくるのを待ち、結局は不在票を投函して持ち戻り——。指定どおりに玄関前へ届けたいのに、物理的に入れない。かといって、開いた扉に続いて勝手に入っていいのかも分からない。この「板挟み」に、いま制度の側が動き始めています。

この記事は、消費者向けでもマンション管理向けでもなく、配達する側の目線で、オートロックの置き配をどう扱うかを整理します。

結論:入れる仕組みは広がるが、「勝手に入る」は絶対NG

先に結論です。

つまり「仕組みがある建物では正しく使う/無い建物では無理に入らない」。この線引きが、配達員が自分を守る一番のポイントです。

なぜ今こう変わっているのか

国交省は再配達の削減を政策課題として継続的に扱ってきました。宅配ボックスや置き配など、消費者が「一度で受け取れる」選択肢を増やす方向です。2026年3月31日に閣議決定された総合物流施策大綱でも、多様な受取方法を選びやすくする環境整備が掲げられています。

その中で「置き配を指定しても、オートロックで届けられない」という現場の壁が課題として認識され、集合住宅のオートロックを一時的に解錠できるデバイスの活用を、事業者の先進的な取り組みとして支援する動きにつながっています。

背景には、再配達がドライバーの時間を奪っているという事情があります。1回で届けば、その分の再訪問がなくなる。委託で走る軽貨物ドライバーにとっては、実質的な時間あたりの手取りに直結する話でもあります。

「入れる仕組み」の主なタイプ

現場で出会う解錠の仕組みは、おおまかに次のようなタイプに分かれます(呼び方や方式は事業者・建物によって異なります)。

いずれも共通するのは、「誰が・いつ・どの配達で開けたか」が記録される」という設計思想です。だからこそ、正規の仕組みを正しく使っている限り、配達員の身を守る証拠にもなります。逆に言えば、記録の残らないやり方(共連れ・借りた番号の使い回しなど)はリスクだけが残ります。

やってはいけないこと

指定が「置き配」でも、次の行為は避けてください。

「置き配指定=どんな手を使っても中に入れていい」ではありません。指定は「玄関前に置いてほしい」という希望であって、入館の許可とは別物です。

入れなかったときの実務

正規の解錠手段が無く、住人にも取り次げないときは、無理をせず通常の不在対応に切り替えます。

  1. 不在票を投函(置き配できなかった旨、再配達・再指定の案内)。
  2. 持ち戻り、または宅配ボックス・コンビニ受取などの代替案内(依頼元のルールに従う)。
  3. 同じ建物で繰り返し入れないなら、「どの建物が・どの方式で・入れたか/入れなかったか」を記録しておく。次に同じ物件を回すときの判断が早くなります。

この「建物ごとのクセ」を頭の中だけで管理すると、担当替えのときに引き継げず、毎回ゼロからつまずきます。

記録を一本化すると、オートロックの壁が「データ」になる

置き配・オートロックまわりは、感覚で回すと毎回同じ場所で止まります。そこで効くのが、配達記録の一本化です。

これを日報・記録として残しておくと、「この建物は入れないから朝イチは避ける」「再配達が多いエリアは置き配比率を上げたい」といった段取りの判断が数字でできます。再配達が1件減るごとに、次の配達に回せる時間が増える。日報・記録・請求を一つの流れにまとめておくと、この「入れた/入れなかった」が単価改善のためのデータに変わります。

まとめ:今日からやることリスト

制度は「入れる仕組みを増やす」方向へ動いていますが、当面はオートロックの対応が建物ごとにバラバラの状態が続きます。「仕組みがあるなら正しく使う、無いなら入らない」——この一線を守ることが、配達員自身を守り、結果として単価にもつながります。最新の正確な情報は、国土交通省等の公的情報で確認してください。

参考