「12月は休みなく働いたのに、1月に荷物が半分になって貯金を崩した」 「毎年同じ波が来るのに、毎年同じように焦っている」

軽貨物の荷物量は1年を通して平らではありません。結論から言うと、自分の日報から「月別の完了個数・売上・拘束時間」を1年分並べ、繁忙期は稼働と単価を最大化し、閑散期は固定費を落とす、という年間の設計をしておくと、波に振り回されなくなります。この記事では、その作り方を整理します。

結論:年間の波は「自分の日報」で見る。一般論は目安にすぎない

宅配・企業配送では、一般に年末(11〜12月)と年度末(3月)に荷物が増え、年明け(1〜2月)と夏(8月)に減ると言われます。ただしこれは傾向であって、荷主の業種によってまったく違います。

一般論で計画を立てると外れます。まずやることは、自分の日報を12か月分並べて、自分の波を出すことです。

手順1:月別の3つの数字を1年分並べる

日報から、月ごとに次の3つを集計して表にします。

月 完了個数(または便数) 売上 拘束時間 1時間あたり売上
1月
…
12月

一例として、宅配中心のドライバーの1年が次のようになったとします(説明用の例です)。

ここで注目するのは、閑散期に「拘束時間はあまり減らないのに売上だけ減る」点です。荷物が少なくてもセンターには行き、ルートは回るので、時間あたりの売上が大きく下がります。年間設計で最も効くのは、この閑散期の扱いです。

繁忙期・閑散期の判定は、12か月の平均を出し、平均の1.2倍を超える月を繁忙期、0.8倍を下回る月を閑散期とする、といった自分なりの基準で構いません。大事なのは毎年同じ基準で見ることです。なお、開業1年目で12か月分がない場合は、あるだけの月で表を作り、翌年に埋めていきます。1年目は一般論の波を仮置きにして、実績が出た月から置き換えてください。

手順2:繁忙期は「稼働の上限」と「単価」を先に決める

繁忙期は稼げる時期ですが、同時に事故と体調不良が増える時期でもあります。受けられるだけ受けるのではなく、上限を先に決めます。

繁忙期の売上は、閑散期の固定費を賄う原資になります。「繁忙期の売上の一部を閑散期用に取り分けておく」と決めておくと、年明けの資金繰りが楽になります。夏枯れの資金繰りは8月は荷物が減る|軽貨物の夏枯れを数字で乗り切る資金繰りで詳しく扱っています。

手順3:閑散期は「固定費を落とす」と「別の案件で埋める」の2本立て

閑散期にやることは2つです。

1. 固定費を落とす

売上が減る月に同じ固定費を払い続けると、手取りが一気に減ります。閑散期の前に見直す項目の例です。

固定費の漏れの見つけ方は、このシリーズの別記事「手取りを増やす固定費の見直し」(公開後にリンク追加予定)で扱います。

2. 繁忙期のずれる案件で埋める

閑散期の空いた時間に、繁忙期が自分と異なる案件を入れます。宅配が減る1〜2月に増える案件(引越し関連の小口輸送、年度替わりの事業者の移転など)や、8月に動く案件(イベント・季節商品)は地域によって存在します。ここでも「自分の波と逆の波を持つ荷主」を探すことが目的です。案件の組み合わせ方は、このシリーズの別記事「午前宅配+午後企業便で空き時間を埋める」(公開後にリンク追加予定)を参照してください。

手順4:年間の設計を「1枚のカレンダー」にする

月別の数字が出たら、1枚のカレンダーに次を書き込みます。

この1枚があると、「今は何をする時期か」が毎月分かります。作るのは1年に1回、更新は月末の締めのついでで足ります。

よくある失敗

  1. 繁忙期に受けすぎて年明けに倒れる:12月に休みなく働き、1月に体調を崩して閑散期の稼働まで落とした。
  2. 繁忙期の単価を上げずに個数だけ増やす:持ち出し個数が1.5倍になったのに単価は同じで、拘束時間だけが延びた。
  3. 閑散期に単価を下げて仕事を取る:「仕事がないから」と閑散期に安い案件を受け、その単価が翌年の基準になってしまった。閑散期は単価ではなく条件(稼働日数・時間帯)で調整する。
  4. 一般論の波で計画する:「夏は暇」と決めつけて8月の案件を減らしたら、自分の荷主は夏が繁忙期だった。自分の日報で確認する。

実務メモ:月次の締めと一緒に「12か月表」を更新する

年間カレンダーを作る手間は、月次の締め作業に1行足すだけです。月末に売上・完了個数・拘束時間を集計しているなら、その数字を12か月表に転記するだけで、翌年の設計の材料が揃います。日報→月次締め→年間表、と同じ数字がつながっていれば、追加の作業はほとんどありません。

まとめ:今日からやること

波は毎年来ます。来ると分かっている波に合わせて設計しておけば、繁忙期の稼ぎを閑散期に持ち越せます。