「宅配は午前に集中して、14時以降は荷物が少なくて手持ち無沙汰」 「企業便は朝が遅いので、午前中まるごと空いている」
軽貨物の1日は、案件を1種類しか持っていないと必ずどこかに空き時間ができます。結論から言うと、案件タイプごとに「荷物が動く時間帯」が決まっているので、時間帯の違う案件を2つ組み合わせるのが、拘束時間を増やさずに売上を伸ばす基本形です。この記事では、案件タイプ別の時間帯特性と、組み合わせの型を整理します。
結論:時間帯がずれる案件を2つ持つ
軽貨物の主な案件タイプと、荷物が動きやすい時間帯の傾向は次のとおりです(荷主や地域で異なります。あくまで一般的な傾向です)。
| 案件タイプ | 動きやすい時間帯 | 拘束の特徴 | 請求タイプの例 |
|---|---|---|---|
| 宅配(個建て) | 早朝の仕分け〜午前、夕方の時間指定 | 午前に集中、14〜17時が薄い | シンプル/運賃ベース+加算 |
| 企業配送(ルート便) | 午前中〜午後の営業時間内 | 曜日・時間が固定、午前は遅め | シンプル(日当)/運賃ベース+加算 |
| センター間・横持ち | 夕方〜夜、深夜 | 拘束が短い、待機が発生しやすい | 運賃ベース+加算 |
| スポット・チャーター | 不定(急ぎが多い) | 単価は高めだが読めない | 単独課金(時間・距離) |
この表を見ると、宅配の薄い時間帯(午後)に企業配送やセンター便を入れる、あるいは企業便の空いている午前に宅配を入れる組み合わせが自然に出てきます。
型1:午前宅配 + 午後企業便
最も組みやすい型です。早朝にセンターで仕分けて午前中に宅配を回し、午後は企業向けのルート便に入る形です。
- 午前の宅配は「午前指定」を優先して回し、時間指定のない荷物は午後便の前後に回す
- 午後の企業便は営業時間内の納品なので、宅配の夕方指定(18〜20時)と両立しやすい
- 注意点は、宅配の持ち戻り処理とセンター返却の時間。午後便の開始時刻と衝突しないよう、センターに戻す時間を先に固定する
この型が成立するかどうかは、午前宅配の「完了個数」が午後便を入れても落ちないかで判断します。完了率が落ちるなら、宅配の持ち出し個数を減らしてもらう交渉が先です。
型2:午前企業便 + 夕方〜夜のセンター便
企業便が午前〜昼過ぎで終わる場合、夕方から夜にかけてのセンター間輸送や横持ちを組み合わせる型です。
- 夕方以降のセンター便は待機時間が出やすいので、「運賃ベース+加算」で待機料が取れる契約かを確認する
- 昼の空き時間は、無理に埋めるより休憩と翌日の準備に使った方が、夜の事故リスクを下げられる
- 深夜帯まで入る場合は、翌朝の企業便の開始時刻との間に十分な休息時間を確保する
型3:固定のルート便 + 空き時間のスポット
固定の企業便を軸にして、空いた日や時間にスポット・チャーターを受ける型です。単価は高めですが、いつ入るか読めないため、固定案件の稼働率が下がらない範囲に限ります。
- スポットは「単独課金(時間・距離)」の契約が多いので、起点・終点と端数の扱いを事前に決めておく
- スポットの受け方は、固定便の前後2時間以内に収まるものだけに絞ると、固定便への影響を避けられる
一例:型1で組んだ1日の時間割
型1(午前宅配+午後企業便)を実際に組むと、次のような1日になります。数字はすべて説明用の例で、荷主や地域によって変わります。
| 時刻 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 6:30〜8:00 | 宅配センターで仕分け・積込 | 午前指定を先に積む |
| 8:00〜12:00 | 宅配(午前指定→指定なし) | 完了個数の目安を決めておく |
| 12:00〜12:45 | 持ち戻りをセンターへ返却・昼休憩 | 午後便の開始に間に合う時間を固定 |
| 13:00〜16:30 | 企業ルート便(納品先3〜5か所) | 営業時間内の納品 |
| 17:00〜19:30 | 宅配の夕方指定 | 午前の持ち戻りの再配達もここで |
| 19:30〜20:00 | センター返却・日報記入 | 完了個数・持ち戻り・時刻を記録 |
この例では、午前の宅配だけの日に比べて拘束時間は3〜4時間増えますが、そのぶんが企業便の日当として売上に加わります。逆に、午後便を入れたことで午前の完了個数が落ちるようなら、持ち出し個数を減らすか、午後便の開始時刻を遅らせる交渉が必要です。「増えた売上」と「落ちた完了個数」を同じ日報で比べられるようにしておくのがポイントです。
組み合わせを決めるときの3つの数字
組み方は感覚ではなく、日報の数字で決めます。
- 稼働時間の空き:出庫〜帰庫のうち、荷物を運んでいない時間が1日に何時間あるか
- 移動距離の重なり:2つの案件の拠点(センター・荷主の営業所)が離れていると、空車での移動で時間と燃料が消える。拠点間の距離と移動時間を出す
- 完了個数の変化:組み合わせた後に、元の案件の完了個数(または便数)が落ちていないか
この3つを月単位で並べれば、「組み合わせて売上は増えたが、燃料代と移動時間で相殺されている」といった状況も見えます。荷主ごとの粗利の出し方は別記事「軽貨物は荷主別に粗利を出す」(公開後にリンク追加予定)を参照してください。
よくある失敗
- 拠点が離れた2案件を組む:午前の宅配センターと午後の企業便の拠点が片道40分離れており、毎日1時間以上を空車移動に使っていた。売上は増えたが燃料と時間で相殺。
- 両方の繁忙期が重なる:宅配と企業便のどちらも年末に増え、12月にどちらも回りきれず完了率が落ちた。片方は繁忙期がずれる案件を選ぶ。
- 休憩を削って埋める:昼の1時間まで案件で埋めた結果、夕方の集中力が落ちて事故を起こした。空き時間は全部埋めるものではない。
- 契約の拘束条件を見ていない:午前の宅配に「終了時刻まで待機」の条件があり、午後便の開始に間に合わなかった。契約書の稼働時間の定めを先に確認する。
実務メモ:組み合わせは「週単位」で試す
新しい案件を組み合わせるときは、いきなり月契約にせず、週2〜3日の稼働から試すと影響を確認できます。試している間は日報に「どの時間帯にどの案件を入れたか」を残し、1週間ごとに完了個数と拘束時間を見比べます。うまく回れば稼働日を増やし、完了率が落ちるなら組み方を変える。この繰り返しが、空き時間の少ない1日を作る近道です。
まとめ:今日からやること
- [ ] 今の案件について、荷物が動く時間帯と空いている時間帯を日報から書き出す
- [ ] 空いている時間帯に入る案件タイプを表から選ぶ
- [ ] 候補の案件について、拠点間の距離・移動時間と繁忙期の重なりを確認する
- [ ] 週2〜3日から試し、完了個数と拘束時間の変化を日報で見る
- [ ] 休憩時間は確保したまま組む
案件を2つ持つことは、売上を増やすだけでなく「1社に打ち切られたときの備え」にもなります。荷主を分散させる考え方は、このシリーズの別記事で扱います。