「安全管理者に自分を選任する、という話は分かった。でも肝心の“講習”はどこで、いくらで、どうやって申し込むの?」——選任義務の解説はよく見かけるようになりましたが、実務でつまずくのはここから先です。
この記事では、貨物軽自動車安全管理者の講習の受講先・申込手順・費用・所要時間・更新(定期講習)、そして既存事業者に残された猶予期限(2027年3月末)を、実務目線で整理します。
先に結論
- 安全管理者は「選任」だけでなく、事前の講習受講が必要。なった後も2年ごとの定期講習を受け続ける。
- 講習は国土交通省の登録講習機関で受ける。対面の機関と、eラーニング(オンライン)で受けられる機関の両方がある。
- ナスバ(独立行政法人 自動車事故対策機構)の講習はeラーニング形式・5時間・受講手数料3,700円(税込)。Webで随時申し込み・受講できる。
- 既存事業者の猶予は2027年(令和9年)3月31日まで。新規に始める人は令和7年4月1日から選任義務がかかっている。
「選任届は出したが、講習はまだ」という人は、この猶予期限までに“受講→修了”を済ませておく必要があります。
そもそも講習は「選任のオマケ」ではない
貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任する必要があります。そして安全管理者になるには、事前に講習を受講し、選任後も2年ごとの定期講習を受講し続けることが求められます。
つまり講習は一回きりのイベントではなく、
- なる前に受ける「安全管理者講習」
- なった後、2年ごとに受ける「定期講習」
という2段構えです。定期講習は「選任の日前2年以内に修了していること」が要件として整理されています。ここを取りこぼすと、選任を続けているつもりでも要件を満たさなくなるおそれがあります。
受講先の探し方——「対面」と「eラーニング」から選ぶ
講習は誰でも勝手に開けるものではなく、国土交通省に登録された講習機関が実施します。国交省が登録講習機関の一覧を公表しており、そこには対面で実施する機関と、eラーニング(オンライン)で実施する機関が分かれて掲載されています。
- 近くで机に向かって受けたい → 対面実施の機関
- 移動時間を取れない・繁忙期でも自分のペースで受けたい → eラーニング実施の機関
まずは国交省の一覧(本文末の「参考」)で、自分が受けやすい形式・機関を確認するのが出発点です。費用や所要時間、更新の扱いは機関ごとに差があるため、申し込む機関の案内で必ず最新の条件を確認してください。
ナスバのeラーニングで受ける場合の流れ
代表的な受講先のひとつがナスバ(NASVA)です。ナスバの貨物軽自動車安全管理者講習はeラーニング形式で、以下が公表されています。
- 所要時間:5時間
- 受講手数料:3,700円(税込)
- Webで随時申し込み・受講が可能(支払い完了時から受講期間が始まる)
大まかな流れは次のとおりです(詳細な操作手順はナスバのシステム内に手順書があります)。
- ナスバの講習予約システムから申し込む
- マイページから受講手数料を支払う(支払い完了で受講開始)
- 本人認証を行う(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
- eラーニングを受講する
- 修了証明書をマイページからダウンロード(登録メールアドレスへの送信も可)
修了証明書は選任の要件を満たしたことを示す大切な書類です。ダウンロードしたら、後述のとおり修了日とあわせて保管しておきましょう。
オンラインで受けられるとはいえ、ナスバ以外にも対面の登録機関があります。「オンラインで受けたい」「近くの会場で受けたい」で選び分けてください。
2027年3月末の猶予期限——既存事業者はここが期限
制度のスケジュールは、新規と既存で分かれています。
- 新規に事業を始める人:令和7年(2025年)4月1日から選任義務。
- すでに事業をしている人(既存事業者):令和9年(2027年)3月31日までの猶予。
残り1年を切っています。「まだ先」と思っていると、期限直前は申し込みが混み合う可能性もあります。猶予期限=“受講を始める期限”ではなく“修了を済ませておく期限”と捉え、早めに動くのが安全です。
実務メモ:受講予定・修了日・次回定期講習を「記録」で握る
この制度でやっかいなのは、一度受けて終わりではない点です。2年ごとの定期講習があるため、「いつ修了したか」「次はいつまでに受け直すか」を管理し続ける必要があります。
紙の修了証を引き出しにしまうだけだと、2年後に「あれ、期限いつだっけ」となりがちです。おすすめは、次の3点を日報・記録と同じ場所で一元管理すること。
- 修了日(修了証明書の日付)
- 次回の定期講習の期限(修了日から2年を目安に、実際の要件は機関の案内で確認)
- 修了証明書のファイル(PDFを紐づけて保管)
点呼記録や健康・適性診断の管理と同じ台帳に「安全管理者の講習履歴」も並べておくと、監査や巡回指導で問われたときに、普段の記録がそのまま答えになります。記録を一本化しておくほど、更新漏れも“探す手間”も減ります。
まとめ:やることリスト
- [ ] 自分の営業所に安全管理者を選任したか確認する
- [ ] 受講先を国交省の登録講習機関一覧から選ぶ(対面/eラーニング)
- [ ] ナスバのeラーニングなら5時間・3,700円(税込)、Webで随時申込
- [ ] 修了証明書をダウンロード・保管し、修了日を記録する
- [ ] 2年ごとの定期講習の期限を台帳に登録しておく
- [ ] 既存事業者は2027年(令和9年)3月31日までに修了を済ませる
費用・所要時間・更新の扱いは登録機関ごとに差があります。最新の正確な情報は、国土交通省・ナスバ等の公的情報で必ず確認してください。
参考
- 国土交通省/貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000172.html
- 国土交通省(報道発表)/貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正を行いました:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000665.html
- 近畿運輸局/貨物軽自動車運送事業における安全対策の強化について(既存事業者は施行後2年=令和9年3月末までに選任、令和7年4月以降の新規は速やかに):https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/info/gian/00001_03208.html
- 国土交通省/登録貨物軽自動車安全管理者講習機関の一覧:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000173.html
- ナスバ(自動車事故対策機構)/貨物軽自動車安全管理者講習:https://www.nasva.go.jp/fusegu/kamotsu_kousyu.html
- ナスバ/eラーニング(eナスバ)【安全管理者講習(貨物軽)】について:https://www.nasva.go.jp/fusegu/elearning_anzen.html