「指定の時間に着いたのに、荷物が出てくるまで1時間待たされた」 「配達だけのはずが、館内の横持ちや仕分けまで頼まれた」

軽貨物の現場では、運ぶ以外の作業を“ついで”で頼まれることが少なくありません。そして多くの場合、その時間や手間は無償。「断りづらいし、相場もわからないから言えない」というドライバーは多いはずです。

実は「運送以外の作業」に対価を求めるための制度的な足場はすでに整っており、2025年4月施行の改正で取引適正化の流れがさらに一段進みました。この記事では、何がどう位置づけられているのか、そしてドライバーが実務でどう使えるのかを整理します。

結論:運賃とは別に「附帯業務料・待機時間料」を求める枠組みがある

軽貨物の標準的なルールである 標準貨物軽自動車運送約款 では、運賃とは別に附帯業務料や待機時間料などの料金区分が設けられています。この「運賃」と「料金」を分ける枠組み自体は、平成29年(2017年)の約款改正で整えられたものです。そのうえで、2025年(令和7年)4月1日施行の改正(令和7年国土交通省告示第193号による改正)により、運送契約の書面化・取引適正化の流れがさらに強められました。

ポイントは、「運賃」と「料金」を分けて考える という整理です。

つまり「運ぶ対価」と「それ以外の作業の対価」は別物であり、運送以外の作業には別途料金を求めてよい、という考え方が約款上に位置づけられている、ということです。

ただし注意したいのは、この枠組みがあるからといって自動でお金が振り込まれるわけではない という点です。あくまで「請求できる根拠ができた」段階であり、実際に受け取るには契約・見積りの段階で取り決めておく必要があります。

①そもそも約款とは?なぜドライバーに関係するのか

約款とは、運送の取引条件をまとめた“契約のひな形”です。国が示す標準の約款を使うこともできますし、事業者が独自に定めることもできます。

軽貨物の現場では、元請けや委託元が条件を決めて、ドライバーがそれを受ける形が多いのが実情です。だからこそ「運送以外の作業には対価がつく」という国の標準的な考え方を知っておくことが、交渉の足場になります。「これは慣習だから無償が当たり前」ではなく、「附帯業務には料金区分がある」と言えるかどうかで立場が変わります。

②何が「附帯業務」になりうるのか

約款上、運送に付随する作業として 横持ち などが附帯業務として明確化され、別途料金を収受できる対象として整理されています(この整理は平成29年改正で導入されました)。あわせて、

といった料金区分が示されています。

館内作業・仕分け・検品など、現場で“ついで”に頼まれがちな作業も、運送そのものとは別の役務です。どこまでが運賃に含まれ、どこからが附帯業務料の対象になるのかは、最終的には契約内容によります。だからこそ「契約・見積りの時点で線引きする」ことが重要になります。

③実務メモ:交渉の決め手は「時間と作業の記録」

附帯業務料や待機時間料を求めるとき、口頭で「待たされた」「作業した」と言うだけでは弱いものです。説得力を持たせるのは具体的な記録です。

こうした 日々の業務記録・待機時間ログ・請求データを一本化 しておくと、交渉のたびに記憶をたどる必要がなくなります。KeibakoBillのような業務記録・請求機能を使えば、「待った時間」「行った附帯作業」をそのまま対価請求の根拠として残せます。記録が手元にあること自体が、不当な無償作業を断る力になります。

この約款改正は、委託契約時の書面交付義務化や取引適正化の流れと同じ方向を向いています。「運賃」と「附帯業務料」を分けて書面で確認する習慣をつけておくと、単価交渉全体が進めやすくなります。

まとめ:今日からやることリスト

「附帯業務料は請求できる枠組みがある」——これを知っているだけで、現場での立ち位置は変わります。まずは記録から始めてみてください。

なお、約款の具体的な条文・料金区分の正確な内容や、自分の契約にどう適用されるかは個別の取引条件によります。最新の正確な情報は、国土交通省の標準運送約款・告示の原文で必ず確認してください。

参考