「来月いっぱいで契約終了でお願いします」——1社専属で走ってきた軽貨物ドライバーにとって、これほど怖い一言はありません。翌月から収入がゼロになるのに、業務委託だから補償もない。泣き寝入りするしかないのでしょうか。

実は、そうではありません。フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、2024年11月1日施行)では、6か月以上の継続的な業務委託を途中で解除したり、更新しなかったりする場合、発注事業者は原則として30日前までに予告しなければならないと定められています(第16条)。さらに、予告された側は解除の理由の開示を請求できます。

「報酬は60日以内に支払い」という取適法のルールに比べて、この「解除予告ルール」はまだあまり知られていません。この記事では、自分の契約が対象になるかの確認方法、予告なしで切られたときにできること、そして日頃から残しておくべき記録を整理します。

結論:6か月以上の継続委託なら「30日前予告」を求められる

ポイントを先にまとめます。

軽貨物の宅配・ルート配送の委託契約は「1か月ごとの自動更新」といった形が多いですが、更新を繰り返して通算6か月以上になっていれば対象です。契約の間に空白があっても、空白期間が1か月未満なら通算されます。

「不更新」もカバーされる——契約書の建て付けだけで判断しない

「途中で切られたわけじゃなく、更新されなかっただけだから仕方ない」と思いがちですが、フリーランス法の予告義務は不更新にも及びます。切れ目なく更新されることが想定されていた契約を更新しない場合や、契約満了日から1か月以内に次の契約を結ばない場合は「不更新」として、やはり30日前の予告が必要です。

一方で、次のような例外事由に当たる場合は予告は不要とされています。

「ドライバー側の責め」は発注者が一方的に主張すればよいものではなく、30日前予告の保護を与える必要がない程度に重大・悪質かで判断されるとされています。詳細な適用条件は文末の公正取引委員会の資料で確認してください。

予告なしで切られたら:できることは3つ

① 理由の開示を請求する

予告された日から契約満了までの間なら、解除・不更新の理由の開示を書面やメールで請求できます。理由が曖昧なままだと交渉も相談もできません。請求と回答は必ずメール等の記録が残る形で行いましょう。

② 行政機関に申し出る

発注事業者に違反と思われる行為があった場合、フリーランスは公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省に申し出ることができます(解除予告のような就業環境に関する事項は厚生労働省・都道府県労働局の管轄)。オンラインでの申出も可能で、申出をしたことを理由に契約解除などの不利益な取扱いをすることは禁止されています。

③ フリーランス・トラブル110番に相談する

「これは違反なのか自信がない」という段階でも、弁護士に無料で相談できる公的窓口「フリーランス・トラブル110番」(0120-532-110)があります。自分で交渉するための助言のほか、和解あっせんや行政機関への申出の支援も受けられます。

実務メモ:交渉と相談の武器は「日々の記録」

理由開示の請求も行政への申出も、「いつから・どんな条件で・どれだけ働いてきたか」を示す資料がないと始まりません。備えとして残しておきたいのは次の4点です。

日報・請求書・入金記録を別々のノートやアプリに散らばらせず一本化しておくと、いざというとき「6か月以上の継続委託である証明」と「稼働実績の証明」がすぐ揃います。普段の業務記録が、そのまま自分を守る証拠になるということです。

まとめ:今日やることリスト

なお、実態として元請けの指揮命令下で働いている場合は、フリーランス法ではなく労働法上の保護が問題になる可能性もあります。制度の適用条件や最新の運用は、下記の公的情報で確認してください。

参考