「健康診断は受けたから大丈夫」だと思っていませんか

軽貨物(黒ナンバー)で開業したばかりの方から、こんな声をよく聞きます。

「健康診断は毎年受けてるから、もう義務は果たしてるはず」 「適性診断って、健康診断のことじゃないの?」

実はこの2つ、まったく別の義務です。健康診断は体の状態を調べるもの、適性診断は運転の性格・傾向を調べてカウンセリングを受けるもので、根拠となる制度も別々です。国土交通省は2025年4月から、貨物軽自動車運送事業者にも安全対策を強化する制度改正を行っており、その一つとして「初任運転者への適性診断の受診」が求められています。

結論から言うと、過去に一度も適性診断を受けたことがない人は、事業用軽貨物として初めて荷物を運ぶ前に、適性診断(初任診断)を受ける必要があります。 開業したばかりで「初めてハンドルを握る」という方は特に注意してください。

適性診断とは何か

適性診断は、運転者としての性格・注意力・判断のクセなどをテストし、カウンセラーが結果をもとに事故防止のための助言を行うものです。健康診断のような身体検査ではなく、「運転者としての自分の傾向を知り、事故を未然に防ぐための指導を受ける」という位置づけの制度です。

国が認定する診断実施機関で受診する必要があり、代表的な実施機関が独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)です。NASVAは全国に事業所を持ち、連携する指定自動車教習所などでも受診できます。

初任診断の対象者と受診タイミング

NASVAの案内によると、初任診断の対象は「所属する運送事業者において新たに運転者として採用される方」で、貨物事業の場合は「初めてトラック(軽貨物車を含む)に乗務する前」に受診するとされています。

つまり、

は、乗務を始める前に受診しておく必要があるということです。すでに何年も軽貨物で稼働していて、過去に適性診断を受けたことがある方は「初任診断」の対象にはなりません(ただし一定年齢以上や事故歴がある場合など、別の診断が必要になるケースもあります)。

なお、令和7年3月末までに貨物軽自動車運送事業の経営届出を済ませていた「既存事業者」については、初任運転者への特別な指導・適性診断の実施に令和10年(2028年)3月までの経過措置(猶予)が設けられています。一方で、令和7年4月以降に新たに届出をした事業者には、この猶予はありません。 これから開業する方は、開業時点から義務が及ぶ点に注意してください。

自分がどの区分に当てはまるかは、事業者ごとの事情によって変わるため、最新の正確な情報は国土交通省・NASVA等の公的情報、または管轄の運輸支局で確認してください。

費用と診断時間の目安

NASVAの公表情報では、初任診断の手数料は4,800円(消費税込み)、診断時間は約1時間40分とされています。これはNASVA本体での金額であり、連携する教習所などで受診する場合は金額が異なることもあります。予約時に必ず確認しましょう。

健康診断との違いを整理する

健康診断 適性診断(初任診断)
目的 身体の健康状態の確認 運転者としての性格・注意力の傾向確認
内容 血圧・視力などの身体検査 運転適性のテストとカウンセリング
受診先 医療機関 NASVA等の国認定の適性診断実施機関

どちらも軽貨物事業者に求められている別々の義務です。「健康診断を受けたから適性診断は不要」という誤解でうっかり未対応のまま乗務を続けてしまわないよう、両方の受診状況を分けて管理することが大切です。

実務メモ:受診記録も「うっかり抜け」の原因になりやすい

適性診断や健康診断は年に1回ではなく「初任時」「一定間隔」など制度ごとにタイミングが異なるため、いつ・誰が・どの診断を受けたかを管理表などで残しておくと安心です。日報や請求管理と一緒に、受診日・受診機関・次回の目安をまとめて記録しておく習慣をつけておくと、複数の義務を並行して管理する負担が減ります。

まとめ:今すぐ確認したいこと

参考