「黒ナンバーが付いたから、これで開業手続きは全部終わり」——そう思って走り出していませんか。

実は、貨物軽自動車運送事業(軽貨物)の開業手続きは、経営届出(=黒ナンバー取得)だけでは完結しません。運賃・料金についての届出というもう一つのステップがあり、これを出し忘れたまま営業しているドライバーが少なくありません。

この記事では、「運賃・料金の届出とは何か」「誰が・いつまでに出すのか」「元請けから単価が決まっている実費委託でも要るのか」を、国土交通省・運輸支局の一次情報をもとに整理します。

結論:運賃・料金表の届出は、開業手続きの一部です

先に要点をまとめます。

つまり黒ナンバーの経営届出をした時点で、本来は運賃・料金表もセットで出しているはずのもの。もし「そんな紙は出した記憶がない」という場合は、手続きが抜けている可能性があります。管轄の運輸支局に一度確認しておくと安心です。

そもそも「運賃・料金の届出」とは

軽貨物は、荷物を運んで対価(運賃)を受け取る運送事業です。その運賃・料金をいくらに設定しているかを、事業者自身が定めて行政に届け出る、という制度です。

ポイントは、行政が金額を決めるわけではないということ。あくまで「うちはこういう料金体系でやります」と自分で定めた表を届け出る形です。だからこそ、開業前に自分の運賃表をつくっておく必要があります。

届出に使う運賃・料金表には、たとえば次のような区分を書き込みます。

運輸支局のサイトには様式例(ひな形)が用意されていることが多く、まずはそれをベースに自分の単価を当てはめていくのが現実的です。

よくある疑問:元請けから単価が決まっている「実費委託」でも要るの?

軽貨物ドライバーの多くは、大手宅配や物流会社と業務委託契約を結び、「1個いくら」「1日いくら」と単価が決まった形で働いています。この場合、「自分で運賃を決めているわけじゃないのに、運賃表なんて要るの?」と疑問に思うかもしれません。

ここは判断が分かれやすいところなので、断定は避けます。契約形態(荷主と直接か、元請けの下請けか)や地域の運輸支局の運用によって、届出の要否や書き方の考え方が変わることがあります。実費委託・下請け案件での取り扱いについては、必ず所管の運輸支局に確認してください。開業手続きの相談の際に「運賃料金表はどう書けばよいか」まで一緒に聞いておくのが確実です。

運賃・料金を変更したときは「30日以内」

一度届け出た運賃・料金を見直したとき——たとえば燃料費の高騰で単価を上げた、時間制の料金を新設した、といった場合は、設定・変更後30日以内に「運賃料金設定(変更)届出書」を運輸支局へ提出します。

この30日ルールは、運賃を「新しく設定したとき」も「変更したとき」も対象です。開業後に料金を動かす機会は意外とあるので、「変えたら30日以内に届出」と覚えておきましょう。

なお、届出書は管轄する運輸局の分だけ部数が必要になる場合があります。何部で、どの様式で出すかは、様式ダウンロードのページや運輸支局の窓口で確認するのが確実です。

実務メモ:運賃表と実際の請求を一本化しておく

運賃・料金の届出でつまずきやすいのは、「届け出た運賃表」と「日々実際にもらっている金額」がバラバラになっていくことです。届出は開業時にやったきり、実際の単価は元請けとのやり取りで変わっていく——という状態だと、いざ変更届が必要になったときに「今の自分の単価はいくらだっけ」から調べ直すことになります。

そこでおすすめなのが、日々の運行記録・料金・請求を一つの流れで残しておくこと。1件ごとの距離・時間・料金を記録し、そのまま請求につなげておけば、自分の実際の運賃体系がいつでも見える化されます。運賃表を見直すときも、届出を出すときも、根拠となる数字がそろっているので判断が早くなります。紙とエクセルに散らばりがちな部分こそ、早めに一本化しておくと後がラクです。

まとめ:開業後にやることリスト

黒ナンバーを取った「あと」に確認したいことを整理します。

黒ナンバーの取得はスタートライン。運賃・料金の届出まで済ませて、はじめて「きちんと開業した軽貨物事業者」になります。細かい提出期限・様式・部数、そして実費委託での取り扱いなど、最新の正確な情報は国土交通省・各運輸支局の公的情報で必ず確認してください

参考