「A社は1個いくら、B社は日当に待機料が乗る、C社は時間いくら。月末に請求書を作るたびに頭が混乱する」 「加算分を請求し忘れて、気づいたのは入金後だった」

荷主が2社、3社と増えると、請求の組み立て方が荷主ごとにバラバラになります。結論から言うと、軽貨物の請求は「シンプル」「運賃ベース+加算」「単独課金」の3タイプに分ければ整理がつきます。どの荷主がどのタイプかを最初に決めておけば、月末の請求作成は「数を数えて当てはめる」だけの作業になります。

結論:荷主ごとに「請求タイプ」を1つ決めてから数字を集める

請求ミスの多くは、金額の計算間違いではなく「何を請求できる契約だったか」を毎月思い出しながら作っていることが原因です。先にタイプを決め、そのタイプに必要な記録だけを日々残す、という順番にすると迷いが消えます。

タイプ 請求の中身 向いている案件 毎日残す記録
シンプル 運賃のみ(個建て・日当・月額) 宅配の個建て、固定ルートの日当 配達個数、稼働日数
運賃ベース+加算 運賃+待機料・附帯業務料・燃料サーチャージ等 企業配送、センター便、チャーター 個数・日数に加えて、待機時間・附帯作業・走行距離
単独課金 時間または距離だけで課金(運賃と切り離す) スポットのチャーター、時間貸し、横持ち 稼働時間、走行距離

タイプ1「シンプル」:運賃だけを数える契約

宅配の個建て(1個◯円)、固定ルートの日当(1日◯円)、月額固定などが該当します。請求書は「単価×数量」の1行から数行で済み、荷主側も検収しやすいのが特徴です。

注意点は、シンプルに見えて実は加算が契約に書かれているケースです。たとえば個建ての宅配でも「不在持ち戻りは1件◯円」「大型サイズは加算」と定めていることがあります。契約書や委託条件通知書に加算項目が1つでもあれば、それはタイプ2として扱った方が請求漏れを防げます。

タイプ2「運賃ベース+加算」:運賃に待機料・附帯業務料を積み上げる契約

企業間配送やセンター便、チャーター便に多いタイプです。基本の運賃(日当や1便あたりの単価)に、次のような加算が乗ります。

国土交通省が定める貨物軽自動車運送事業の標準約款では、待機時間料や附帯業務料などを運賃とは別の「料金」として収受できることが示されています。詳しくは軽貨物の待機料・附帯業務料は請求できる|約款が定める料金の根拠で整理しています。

このタイプで最も多い失敗は、加算の根拠となる記録が残っていないことです。「先週の木曜、センターで2時間待った」と月末に思い出しても、時刻の記録がなければ荷主に説明できません。運転日報に「到着時刻・積込開始時刻・出発時刻」を書く習慣があれば、待機時間はそこから機械的に出せます。運転日報の記録義務については軽貨物の運転日報、記録義務化とは?を参照してください。

タイプ3「単独課金」:時間・距離だけで請求する契約

「1時間◯円」「1kmあたり◯円」のように、運んだ個数や便数ではなく稼働時間や走行距離そのものに課金する契約です。スポットのチャーター、店舗間の横持ち、引越しの補助などに使われます。

タイプ2との違いは、運賃と加算を分けないことです。時間貸しであれば、待機も走行も同じ「時間」として計上するので、待機料という概念がありません。その代わり、次の2点を契約時に決めておかないと後でもめます。

「単独課金」で走行距離を根拠にするなら、運転日報の走行距離(出庫・帰庫のメーター値)が証拠になります。

タイプを混ぜると起きる3つのミス

  1. 加算の二重請求:タイプ3の時間課金なのに、待機料を別途上乗せしてしまう。荷主から「時間で払っているのに待機料とは何か」と指摘され、信頼を落とします。
  2. 加算の請求漏れ:タイプ2の契約なのにシンプルとして扱い、待機料・附帯業務料を落とす。年間で見ると数万円〜十数万円単位の取りこぼしになりがちです。
  3. 記録の不足:タイプ3で距離課金なのにメーター値を記録しておらず、ナビの履歴から推定して請求する。荷主の検収で差し戻されます。

いずれも「荷主ごとのタイプを決めていない」ことが根本原因です。

実務メモ:請求タイプは契約書のこの部分で判定する

新しい荷主と契約するとき、あるいは既存の荷主を整理するときは、契約書・委託条件通知書の次の欄を確認します。

2025年4月1日施行の改正貨物自動車運送事業法により、軽貨物の委託契約にも報酬の額や支払期日などを書面(または電磁的方法)で明示することが求められています。書面に加算項目が書かれていないのに口頭で「待機料は出す」と言われている場合は、次回更新時に書面へ反映してもらうのが安全です。確認すべき記載項目は軽貨物の委託契約に「書面交付」義務化|確認すべき記載項目にまとめています。

荷主ごとにタイプを決めたら、運転日報の項目をタイプに合わせて固定します。シンプルなら個数と稼働日、タイプ2なら時刻と附帯作業の内容、タイプ3なら時間と距離。日報と請求の項目を最初から揃えておけば、月末に日報を見返して「請求できるものが漏れていないか」を探す作業がなくなります。

まとめ:やることリスト

請求の組み立てを3タイプに絞ると、荷主が増えても月末の作業は「タイプ別に数字を当てはめる」だけになります。契約の記載と日々の記録を先に揃えておくことが、取りこぼしを防ぐいちばんの近道です。

参考